心臓リハビリテーション
狭心症・心筋梗塞の治療後、再発を防ぎ、快適な生活を営むために欠かせないのが「心臓リハビリテーション」です。患者さんの回復のために、医師や看護師、理学療法士、検査技師などがチームを組んで行います。多職種が関わり、運動療法だけでなく、再発予防のための食事療法や生活指導、禁煙指導、服薬指導、社会心理的サポートなどを行うのが包括的リハビリテーションです。
心臓リハビリは、手術の直後(急性期)から始め、退院後(回復期)も患者さんが自分自身のために続けていくものです。長く続けるほど(維持期)、狭心症や心筋梗塞の再発は減少し、経過も良くなります。
病気別の心臓リハビリテーション
心臓リハビリは、専門の医療スタッフの監視のもとで行われる「監視型リハビリ」と、自宅などで患者さん自身が行う「非監視型リハビリ」に大別されます。さらに、発症からの時間経過によって「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分けられます。
監視型
リハビリ
急性期
急性期病院(入院中)
- ・手術(発症)当日から、2週間または急性期病院を退院するまでに相当
- ・病態は不安定で、手術後の経過観察をしながら点滴・注射薬による治療中
- ・ベッド上または病棟内でのリハビリ
運動療法プログラム例
- ・ストレッチ
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・有酸素運動
(自転車こぎ運動、ウオーキング) - ・階段昇降
回復期(2〜3ヶ月)
自宅またはリハビリ病院
- ・急性期が終了して、リハビリ開始から5〜6ヶ月までに相当
- ・運動負荷試験*を実施
- ・運動療法室でのリハビリ
- ・一般病棟を退院し、外来通院が可能となる
- ・回復が見込まれれば、社会復帰の準備
運動療法プログラム例
- ・ストレッチ
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・有酸素運動
(トレッドミル(ランニングマシン)、自転車こぎ運動、ウオーキング) -
・筋力トレーニング
(腹筋、スクワット、腕立て伏せ、背筋)
非監視型
リハビリ
維持期(生涯)
自宅または運動施設
- ・回復期が終わってから、5〜6か月または終生に相当
- ・復職や復学を果たし、社会復帰をする
運動療法プログラム例
- ・ストレッチ
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・有酸素運動
(トレッドミル(ランニングマシン)、自転車こぎ運動、ウオーキング) -
・筋力トレーニング
(腹筋、スクワット、腕立て伏せ、背筋)
- *身体機能調査や運動負荷心電図検査を行い、どの程度運動負荷をかけてよいかを測定。
回復期に避けたいこと
バイパス手術で胸骨を切断した場合、再び元通りにくっつくまでの回復期(2〜3ヶ月)は、以下のような胸に負担をかける動きは避けましょう。
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海外旅行をする
生活リズムが異なり、荷物を持つ機会のある旅行は控える。国内旅行も同様。
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布団の上げ下ろし
息を止めて力むような動作は心臓に負担がかかるため、避ける。
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満員電車に乗る
押されたりして、胸に負担がかかる可能性があるため。
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重いものを持つ
開胸後、胸骨を固定しているワイヤーが切れる可能性がある。
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自転車の運転をする
視力や集中力などが低下していることがある。自動車の運転も同様に控える。
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激しい運動をする
心臓への血液の供給が不足し、負担がかかるため激しい運動は禁物。